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Vol.2
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新卒入社のP&Gでは、約20年にわたりトップ・セール、トップ・トレーナーとして活躍されてきた小森さんですが、いつもどのようなことを考え、また大切にされてきたのでしょうか。
新人時代の3年間は、いわゆる「根性営業」で数字を叩き出し、結果を残してきました。しかしやはり無理がたたったのか一時体調を崩し、また、後述しますが、当時P&Gの世界トップ・トレーナーのひとりだったボブ・ヘイドン氏との出会いにより、私の営業スタイルは大きく変わりました。ただ、それまでとそれ以降とで、共通して変わらずに大切にしていることはあります。
どんなことですか?
簡潔に言うと、「常に高い目標」を持ち、それを達成する為の「継続的努力」、そして「私は成功
します
(やり
遂げます)
。」と自分自身にも、そして周囲にも宣言し、一度目標を設定したら成功するまであきらめないで、やり続けることです。
小森さんの言う「高い目標」とは、具体的にはどれぐらいですか?
P&G時代、私がまず売ろうとしていた商品は、市場シェアで「3位」でした。私の担当する店舗では、1位の他社商品が100ケース、2位は80ケースでしたので、恐らく同僚であれば、60ケースぐらいを提案していたと思います。ところが私は、いきなりトップシェアの倍の200ケースを提案しました。
現状から考えると、実に3〜4倍の提案ですね。
と言っても、単にふっかけた訳ではありません。それだけの提案をした以上、真剣に何度も説明し、全力を注いで、達成するだけの「継続的努力」をしたんです。例えば、競合商品はCMまでとことん比較しつくし、自社の商品を「宝物」と思えるまでに研究を重ね、トップシェアの倍以上売れている店舗例があれば分析し、担当店には毎日のように足を運んでコンタクト回数を増やすとともに、客目線から気になれば、ほこりを被っていた他社商品の陳列棚の掃除までしたりと、ありとあらゆることをしましたね。
それはかなり目立った営業マンだったんじゃないですか。
最初は、かなり変わっていると思われていましね。しかし一商品に限らず、他の商品でもどんどん提案していきましたので、次第に「こいつ、本気だな。」という認識が周囲に伝わっていきました。 そうして、ただひたすら淡々と、コツコツと自分を信じて行動し続けているうちに、社内外問わず、応援してくれる人たちが出てきてくれたんです。
ただ頑張れば、皆一様に応援者が出てくるという訳ではないですよね?
いきなりトップシェアのところの倍の200ケースと言うと、普通どやされます。賢い人なら60ケースぐらいにしていたかもしれません。ただ、そこで賢くなる必要は全くないんです。「過去これぐらいだから、こんなもんだろう。」という平均値的な目標設定をすると、それ程努力をしなくても達成できたりするので、応援者は現れないですが、高い目標を掲げると、かなりの下準備が必要になり、また幾つものハードルを越えなければいけない場合もあって、そうした状況でこそ、最後にあと一押ししてくれる、応援者が現れます。例えば、車椅子にお年寄りの方が乗っているとして、それを大人が押していても誰も何とも思いませんが、小さな孫が一人で一生懸命押していたとしたら、思わず手を差し伸べてあげたくなるでしょう?
なるほど、確かにそうでうね。それで、200ケースは無事、達成できたんですね。
最後には、店長にも可愛がってもらえるようになりました。目標を高く設定することの利点は、もう一つあります。どんなに努力をしても、時には達成できなかったという場合もあるかもしれません。もちろん、一度や2度の失敗など恐れてはいけません。でも、既存が「5」で、目標を10段階の最高「10」にしていたとすると、頭の中のターゲットは常に「10」なので、「8」か「7」にはなります。しかし、目標を無難に「6」に設定してしまうと、結果はそれより上にはならず、場合によっては、「6以下」になってしまう可能性が出てきます。
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